キミがこの手を取ってくれるなら

3、未来をともにするひと


チャペルに着くと、もう全員集まっていた。
奏ちゃんの両親と、志帆さんと陽介さんの叔父さん夫婦。

他に挙式に招待されていたのは、私とじゅんただけだった。


挙式においで、と奏ちゃんに言われたのは、志帆さんを訪ねて「Milky Way」に行った、結婚式の1か月前のことだ。挙式は身内だけで挙げると聞いていたので正直驚いた。

「そんな大切な場に私達がいてもいいの?」

と聞く私に奏ちゃんは「奈緒と純にはいて欲しいんだよ」と言ってくれた。

奏ちゃんも、私も、じゅんたもひとりっ子だ。
小さい頃から兄弟のように育ってきた私達。
身内だけの場にいて欲しいと言われてとても嬉しい気持ちだった。

志帆さんも快く了承してくれた。

その日、私は志帆さんを誘い出して2人だけで食事に行った。

「女同士の大切な話があるの」

そう言うと奏ちゃんは珍しく、目を丸くして驚いた表情になった。


***

「で、話って何かな?奈緒子ちゃん」

私達は「Milky Way」にほど近い「Felicita」というお店に来ていた。私は取材で訪れたことは無かったけど、この店は羽浦でも有名なカフェダイニングで、しかもケーキが絶品だと聞いていた。

そして、奏ちゃんがずっとケーキ作りの手解きを受けていた店でもある。

美味しい食事とケーキについつい夢中になっていると、志帆さんから逆に話を切り出されてしまった。

私は慌てて話をする。

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