キミがこの手を取ってくれるなら
エンドロール

1、星空の下の告白


式と二次会を終えて、私達は再び展望台に来ていた。
志帆さんから星空が綺麗に見えるから夜のほうがオススメよ、と教えてもらったからだ。

二次会が終わるとすぐ、「ひまりに明日まで会えないなんて寂しいもーん。」と娘を溺愛するパパ北原さんは、紫ちゃんの弟の裕介くんの迎えの車で、さっさと一緒に帰ってしまった。

二人ともからかうだけからかって、さっさと帰るなんて反則だ。


私達は「運転だるいだろ。ってか、どうせ飲むし。」と運転手が言うので、式場に隣接するホテルに泊まることになっていた。


式場から展望台までは歩いて数分。私はかなり上機嫌で歩いていた。もうだいぶ酔いは醒めていたけど、心地よい気持ちは続いたままだ。
もちろん、手はずっと繋いだままで。

私のもう片方の手は深紅の薔薇のブーケが入った袋を持っている。

志帆さんは「これが私の『しあわせ』の形よ。奈緒子ちゃんにあげるわ。」と手渡してくれた。
志帆さんの大切にしているものを分けてもらったような気がして、私はとても嬉しかった。


展望台への階段を登る。
目の前には夜空を埋め尽くすほど満天の星が広がっていた。

「綺麗…」

ただ感動して、言葉もなく、暫く二人で星空を眺めていた。

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