キミがこの手を取ってくれるなら
そして、今、じゅんたは今まで思ってきた全ての気持ちや本音を、弱い所まで、私に…私だけに伝えてくれてるんだ。そう思ったら心が震えた。
じゅんたの気持ちを変えるきっかけをくれたのは奏ちゃんだった。そして、私だけが、じゅんたの心を救うことができるのかもしれない。
「じゅんた…私は、あなたの隣にいたい。こうして側にいたい。始まりのタイミングは違ったし、差もあったのかもしれないけど、今こうして同じ気持ちで一緒にいることが嬉しいの。これからもいろんな気持ちを一緒に分かち合いたいの」
心を許した人は多くはないけど、私にもいる。でも、気持ちをさらけ出して一緒に分かち合いたいと思うのはじゅんただけだ。
そう言ってじゅんたを見上げたら、泣き出しそうな、でもとても嬉しそうな顔をしていた。それからぐっと身体を引き寄せられたかと思うと、そっと唇を掬われるようなキスをされた。
「ありがとう」
そう言った声は震えていて、私まで何だか泣きたい気持ちになった。
見つめ合うと切なくなる。でも、気持ちを確かめるたびに嬉しくなる。そんな気持ちを伝え合うように、それから私たちは何度も何度もキスをした。
手を繋ぎ、お互いの存在を確かめあうように、深く、深く。
私たちは、気持ちも、こうしてお互いの体温だって分かち合うことができるんだ。