キミがこの手を取ってくれるなら

与えられる刺激に翻弄されるうちに、いつの間にか、ワンピースは取り去られていて、ショーツの中に指先が侵入していた。

「っ……あ、痛っ…」

長い指に内側を探られて、ひきつるような痛みに身体が強ばったその瞬間、指の動きがぴたり、と止まった。

「え…」

いつの間にか目を閉じてしまっていたらしい。
そろそろと目を開けると、目の前に戸惑いの表情を浮かべたじゅんたが映っていた。

「奈子…もしかして…はじめて、か?」

首まで真っ赤に火照っていくのが、分かった。そんな恥ずかしいこと、今さら確認しないで欲しい。

それでも、何とか首を縦にぶんぶん振ってうなずくと、頭の上から、「はーっ……」とため息が降ってきた。


「言ってくれよ……」

言える訳がない。恥ずかしすぎる。


「だって彼氏もいたし『押し倒された』とか言うから、てっきり…」

後はもごもごと口の中に言葉が飲み込まれて、私の耳には届かなかった。

そっか、『押し倒された』だけ聞いてたら、そういうこともあったって思っちゃうよね……
私の言葉で勘違いさせちゃったんだ。


「ごめんね。…もうしたくなくなっちゃった?」

そう言うと、今度はじゅんたが首まで真っ赤になりながら、「んな訳ないだろ」と言った。


「嬉しすぎて、どうにかなりそうなんだよ。」
言わせんなよ、と照れながら。


今度は私が真っ赤になる番だった。
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