キミがこの手を取ってくれるなら

紫ちゃんに見送られ、私達は結婚式が行われる、チャペルへと向かう。車に乗り込もうとした時、紫ちゃんに声をかけられた。


「ちゃんと、その目でしっかりと奏一くんのしあわせを見届けてくるんだよ」


かつて同じ気持ちを分かち合った同士からのことばをありがたい気持ちで受け止め噛み締める。
私は「ありがとう」とお礼を言いながら、紫ちゃんの目を真っ直ぐ見て、しっかりとうなずいた。


「奈緒子ちゃん自身のしあわせもね…気づいたかな?早く気づいて欲しいなぁ」


走り去っていく車に紫ちゃんはそう声をかけていたらしいのだが、もちろんその声は私の耳には届いていなかった。

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