キミがこの手を取ってくれるなら

奈子の肩がびくっと跳ねる。
彼女は俺がこういう風に笑うと、不機嫌になっている、ということを知ってるし、意地が悪くなっていくことも知っている。


幼い頃からの条件反射みたいなもんだ。
そして抵抗できなくなってしまう。

俺だけが使える枷、だ。


固まってしまった彼女にキスをしながら、そのままゆっくりとソファーの上に押し倒す。

「ちょ、ちょっと、じゅんた…待って。ダメだって…」


何言ってんだよ。 2時間以上待ったんだ。
これ以上待つわけないだろ。


そのまま舌を絡めとって深いキスをすると、だんだん奈子の頬が赤く染まって、口の端から「ふっ、んっ」と声が漏れだした。


「ほんとに…ダメかよ?」耳元でわざと声を低くして、囁くように言う。奈子は、これにも弱いらしい。これは、付き合ってから分かったこと。

彼女は、とうとうたまりかねたように、「ダメ…じゃないけど、ここじゃ嫌だよ……明る過ぎるし」と言った。


「じゃあ、ベッドならいいんだよな?」


…交渉成立。
俺は奈子の細い身体を抱き上げて、ベッドへと向かった。
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