キミがこの手を取ってくれるなら

郊外にあるチャペルまでは車で一時間ほど。

私は助手席に乗ると、セットしてもらった髪形が崩れないように浅くシートに腰かけた。
少し胸元が空いたワンピースを着ているせいで鎖骨にシートベルトが当たる。それがとても窮屈に感じた。


普段着なれないドレスを着ているからだろうか……私はなんとも落ち着かない気持ちで座っていた。


そういえば、あの日もこんな風に落ち着かない気持ちでいたはずだ。

私ははじめてこの車に乗った日のことを思い出していた。

高校2年生の秋のことだった。



***

じゅんたは高校を卒業してから免許をとった。

大学に入っても、じゅんたは実家住まいを続ける予定だったので、少し離れた大学に通うために車は必須だった。

ここは都会と違って何をするにも、どこへ行くにも車がないと不便なのだ。


じゅんたが買ったのは彼の『表向きの』笑顔のようにとても爽やかな色をした青い車だった。

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