キミがこの手を取ってくれるなら


陽介さんは大笑いしてたけど、笑い事じゃない。

こんなとこで……よりによって……

奈子の前で言うなんて。


「Milky Way」を後にしたところで、『カオリ』について奈子に散々聞かれたけど、全力で誤魔化した。奏はそんな俺を見て愉快でたまらない、という顔をしていて余計に腹が立った。


***

明け方近く、すっかり話し疲れて眠ってしまった奈子から少し離れて寝ていた俺に「純、起きてるか?」と奏が聞いてきた。


もちろん、起きてる。一言言ってやらないと気が済まないからな。

「お前、紫からいろいろ聞いただろ。俺のことも、奈子のことも。」


「お前ら二人呼んだとこで予想しとけよな。」


奏はしれっと、そう言った。
大体、紫のヤツ、話し過ぎだろ。


「俺は『純』粋だから、言われたことは、ただ信じるんだよ。」

そう言った俺に、

「単『純』だから、紫にいいように使われるんだろ。あいつは、いつだって奈緒だけの味方だからな。」

と言葉を返された。

俺は、いつも奏には勝てない。
こんなちょっとしたやり取りでさえも。
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