キミがこの手を取ってくれるなら

そのまま学校を飛び出し、家に着くなり「晩ごはんいらないから!」と母に言い、部屋まで一気に駆け上がった。カバンを放り投げながら、私はベッドに倒れこんだ。


身体は怒っていても、心はとても悲しい気持ちでいっぱいだった。


…このまま眠ってしまおう。


目を閉じたままぼんやりしていると、携帯から着信音が聞こえてきた。


何度か無視しても鳴り止まない着信に、のろのろと起き上がりディスプレイを見る。
久しぶりの、じゅんたからの着信だった。


「何?」不機嫌な気持ちを隠さずにそれだけ言って電話を取る。


「奏のとこに遊びに行くぞ。10分後に玄関な。」

それだけ告げると、電話はすぐに切れてしまった…。


何?奏ちゃんが?10分?
呆けた頭にはすぐに事態がのみこめなかったけど、とにかく10分後にはじゅんたが家に来る。
それだけは理解した。


私は慌てて制服を脱ぎ捨て、支度をはじめた。




< 22 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop