キミがこの手を取ってくれるなら
そのまま学校を飛び出し、家に着くなり「晩ごはんいらないから!」と母に言い、部屋まで一気に駆け上がった。カバンを放り投げながら、私はベッドに倒れこんだ。
身体は怒っていても、心はとても悲しい気持ちでいっぱいだった。
…このまま眠ってしまおう。
目を閉じたままぼんやりしていると、携帯から着信音が聞こえてきた。
何度か無視しても鳴り止まない着信に、のろのろと起き上がりディスプレイを見る。
久しぶりの、じゅんたからの着信だった。
「何?」不機嫌な気持ちを隠さずにそれだけ言って電話を取る。
「奏のとこに遊びに行くぞ。10分後に玄関な。」
それだけ告げると、電話はすぐに切れてしまった…。
何?奏ちゃんが?10分?
呆けた頭にはすぐに事態がのみこめなかったけど、とにかく10分後にはじゅんたが家に来る。
それだけは理解した。
私は慌てて制服を脱ぎ捨て、支度をはじめた。