キミがこの手を取ってくれるなら

じゅんた、調子悪そうだったのに…

体調を崩してる様子なのに飲みに来ていたこととか、そんな様子に気がつかずに無神経に同じ場で嬉しそうに座っている香織さんのこととかを考えると、心がざわついて何だか面白くなかった。

「あの2人、昨日今日の知り合いって雰囲気じゃなかったな…」

それは、私もそう思っていた。
まただ、何か思い出せなくて…引っ掛かってる…

『お前に言われたくないよ。カオリちゃん』

ふと、奏ちゃんの声が浮かんだ。

……あっ!

じゅんたと、はじめて「Milky Way」に行った時、奏ちゃんがじゅんたに向かって口にした名前が「カオリ」だったような気がする。
あの時、後で必ず聞き出さなきゃと思ってたのに、なんとなくうやむやにされたんだっけ…

「おい、百面相。」

…はい?ワタシのことですか?

「気になることはきちんと確認しとくんだぞ。うやむやにしたら、後で必ずしこりができたり、溝になる。」

北原さん…エスパー?

エスパー北原さんは続けてこう言った。
「来週は朝イチでミーティング、だな。」

「もうコンビは解消しましたよね?」

「仕事じゃもう教えることはないけどな、恋愛はまだまだありそうだから教育係は続けてやるよ。な、相方。」

そう楽しそうに言って、北原さんはニヤッと笑った。




< 66 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop