キミがこの手を取ってくれるなら

土曜日、朝にじゅんたにメールをしてみたけど、返信がない。

電話をしてみたけど、出ない。

昼を過ぎても何の連絡もなかったので、私は思いきってじゅんたのアパートまで行ってみることにした。

自転車をこぐ足取りは何となく重かった。

原因は分かっていた。

香織さんと一緒だったらどうしよう…と考えてしまってる自分がいるからだ。

私は、じゅんたの部屋に入ったことがなかった。香織さんが部屋にいたら正直、どうしたらいいか分かんなくなると思うけど、恋人でもない私は何も言うことはできない。

なのに気になって仕方がない。
体調が心配なんて、半分は建前だ。

ドアの前に立つ。
気合いを入れてエイッ、とチャイムを鳴らした。

…出ない。

もう一度押す。やっぱり出ない。

ドアノブに手をかけて、押してみると、玄関はあっさりと開いた。
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