キミがこの手を取ってくれるなら
彼女の言葉を全て信じたわけではなかったけど、私たちのことをじゅんたが彼女に話していたことは少なくともショックだった。
じゅんたが熱を出して寝ている姿はとても苦しそうで、見た瞬間に傍にいたい、何かしてあげたいと自然と考えていた。
でも、じゅんたを苦しめたのは自分かもしれない。悩んでいたのかもしれない。具合が悪いのに飲んで、話してしまいたくなるくらい。
じゅんたが香織さんを部屋にあげたり、一晩中一緒に居たことよりも、私がじゅんたの負担になっていて、香織さんがじゅんたにとってずっと特別な存在だったのかな?と思うことのほうが辛かった。
「あなたはもう純くんに相手にされてないの」
止めを刺すように香織さんが口にした言葉で、高校生の時の、あの苦い感情が一気に溢れ出してきた。
『何よ偉そうに。自分なんてずっと小山先輩に相手にもされてないのに、ばかみたい』
友人だと思っていた人から吐き出された言葉に現実を知り、心を壊されて、それから私は自分の気持ちが分からなくなった。愚痴を言ったり、甘えたりと素直な気持ちを口に出せなくなった。
あの時は、じゅんたがいてくれたから耐えられたのに…
じゅんたも私から離れていってしまうかもしれない 。あの頃の奏ちゃんのように。
そう思った瞬間、頭の中が真っ白になった。