キミがこの手を取ってくれるなら
こうして今まで目を逸らしてきた「嫉妬」「後悔」「自己嫌悪」の気持ちは心の奥底に沈んでずっとずっと積み重なっていた。それが、香織さんに言われた『相手にされてない』という一言がきっかけで、一気に吹き出した。
志帆さんと同じく凛として、じゅんたと同じ道を選んで歩いて行こうとしている人。
同じ目標を持った二人が惹かれ合い、自然と手を取り合ってしまったら…私はほんとうに一人になってしまう。
そう思うことが耐えられなかった。
私は奏ちゃんに選ばれなかった。同じ道を歩めなかった。このことが、こんなにも自分の心に影を落としていることが信じられなかった。
もう大丈夫だと思ってたのに。心の底から祝福していたのに。
片想いは終わりに向かって勢いを無くし、風船がしぼんでいくように小さくなっていると思ってた。あとは自分のタイミングで終わらせるだけだと思っていたし、そうしたらじゅんたともきちんと向き合うことができると思ってた。
私は何も分かっていなかった。
小さい頃からの関係にすがり続けて、私は何一つ変わっていなかったのだ。