キミがこの手を取ってくれるなら
しばらくして、奏ちゃんは「少し歩こうか。」と私を外に連れ出した。
私は自転車を押しながら、2人で川沿いの遊歩道を家に向かって歩く。
「奈緒も言葉が足りないけど、あいつもそうだから色々と誤解を招いたり、こんがらがるんだろ。2人でいるとき、ちゃんと話してたか?今回のことだって、ちゃんと聞いたら倒れるまで悩む話じゃないって分かっただろ?」
うん。と私はうなずいた。
やがて、小さい頃みんなでよく遊んでいた公園の前を通った。
「ちゃんと、2人で話し合えよ。」
そう言うと、奏ちゃんが公園の中を指差した。
入り口の横にある古びたベンチが目に入る。
そこにじゅんたが座っていた。