キミがこの手を取ってくれるなら
3、決意と迷い
久しぶりに会うじゅんたは、少し痩せて見えた。私を見つけるとちょっと気まずそうにしながらも、「座りなよ。」と手招きをしてくれた。
並んでベンチに腰かける。
「もう、身体はいいのか?入院してたって奏から聞いた。」とじゅんたが聞いた。
「うん。じゅんたこそもう大丈夫なの?」
「しばらくまともに起き上がれなくて参ってたら、奏が来て実家まで連れてってくれたんだ。…お前のほうこそ、痩せたんじゃないか?」
確かに痩せた。思うように食べられず、入院中は点滴だけだったので体重は3キロほど落ちていた。
「……この前、うちに来てくれたんだよな。奏から聞いた。メールも電話も気がつかなくて…ごめん。……香織に会ったんだって?」
と言いにくそうにじゅんたが聞いた。
「うん。言いたいことだけ言われ放題。ケンカ売られちゃったよ。」
「…でも買わなかったんだろ?」
私ははっとした。その通りだった。
私は『じゅんたのことを好き』な香織さんに言い返すことをしなかった。ただ彼女からの言葉にショックを受けて過去の傷を思い出しただけだった。
それは、私が『じゅんたのことを好きではない』と言ってるのと同じことで……きっとじゅんたもそのことに気づいているんだろうと思った。