キミがこの手を取ってくれるなら

いつもの意地悪なじゅんたはどこに行ってしまったんだろう。

幼い頃から一緒に遊んだ場所で話している彼は、ずっと長い時間を一緒に過ごしてきた人だけど、私を見つめるその顔は全く知らない男の人のように見えた。

こんなに想われていたなんて知らなかった。


「ここまで待ったんだ、何年待っても一緒だからな。」と優しく笑いながらじゅんたは言葉を続けた。


「どれだけ時間がかかってもいい。俺のことを見てくれないか?好きになってくれないか?俺に気持ちを向けてくれるのなら…この手を取ってくれよ。」


そう言いながら、涙で濡れた私の頬にそっと触れた。

じゅんたの少し骨ばった冷たい大きな手が頬を包む。この手に触れてしまえば…楽になれるかもしれないと何度も考えた。


でも、触れてはいけない。


中途半端な気持ちなのは私のほうだった。


こんな気持ちのまま……この優しい手を取ってはいけないんだ。それだけは分かっていた。
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