キミがこの手を取ってくれるなら
そんな呆れた私の様子を見て、紫ちゃんが驚いたように口を開く。
「奈緒子ちゃんが、奏一くんと純くん以外で打ち解けて話してるの、はじめて見たわ。」
…打ち解けてないし。
すると、北原さんも「俺も幼なじみくん達以外で、姫が友達って言ってる人はじめて見たよ。お前にも女友達いたんだな。」と、とても失礼な発言をした。
確かにいないけど!
「北原さん…私そんなにひとりぼっちに見えますか?」ちょっと悲しくなって、しょんぼりしながら聞いてみる。
「ひとりぼっちって言うよりは猫みたいだよな。周りはめちゃくちゃ可愛がってんのに、気づいてないし、気ままでなつかない感じ。」
と北原さんが言った。…よく分からない。
さらに北原さんは奏ちゃんにも「君も、純くんもなかなか心を許せる人が少ないと思ってるんだけど、どう?」と聞いた。
「そうかもしれませんね。」と奏ちゃんが答えた。
「小さい頃からこの3人でいたら、そりゃ他に友達作るなんて難しかったろうな。男同士ならともかく、男女だったってことが、いちばん『ややこしく』なった原因だろうなぁ。」
……北原さん、さっきの会話もきっちり聞いてましたね?