今、ここであなたに誓わせて
俺の枕元からすっかり溶けた氷枕を持って部屋を出た。そして新しくきんきんに冷えた氷枕を渡され、コップにポカリを注がれる。
「水分ちゃんととってね、何か欲しいものある?」
「俺のことは大丈夫だから、凜はもう寝た方が良い。明日学校に起きれなくなるぞ」
「全然大丈夫そうに見えないんだけど。私のことは心配しなくてもちゃんと行くよ」
刺々しくそう言われる。何か言い返そうにも高熱でぼーっとする頭は上手く回らない。冷えた氷枕が心地良くてすーっと眠りに誘われるが、未だ部屋から出て行かないりんに少し意識を引き戻される。
「……もう出てけって、うつるぞ」
「お兄ちゃん、お願いだから自分の体もっと大事にして」
「分かってるよ」
「分かってないよ」
眉間に皺を寄せながら悲しそうに言う凜。なんでそんな顔をするのか考えるも、半分意識を持っていかれているような状態。再び目を閉じるとそのまま完全に意識を持っていかれた。
それから2日ばかりうんうん高熱に魘され、時々りんにお小言を言われながらやっと解熱した頃。夜、風呂から上がって布団に入ろうとすると、何故か俺のベッドにはりんの枕と布団が。
「今日ここで寝る」
「なんで?」
当然そう尋ねるもりんから明確な理由は語られない。
「インフルエンザで寝苦しい日々を送り、今日こそはゆっくりぐっすり眠れると思っていたのに……」
「いいでしょ、たまには」
「でもですね、小さい頃とは違いあなたも立派に成長されているので二人で寝るのにはちょっとこのベッドでは手狭というか」
なるべく丁寧に断ろうとしているがりんは頑なに自分の主張を譲らなかった。
「私の部屋寒いの」
「嘘つけ、お前の部屋の暖房の方があったかくなるだろ」
どうにもこうにも意地でも今日は俺の方で寝るという凜に観念してしょうがないなとため息をつく。
「分かった。一緒に寝るならお前はこっち」
そう言って枕と布団を壁側にする。俺の寝相で落ちたら困るから。
久しぶりに一緒に寝たが、昔と違って気を遣うというか少し居心地が悪い。