~SPの彼に守られて~
「俺は布団の準備をするから、お前はちゃんと食べておけ」
「はい」

 鷹野さんは先に席を立ってお店の奥に消えていくのを見送りながら思ったのは、鷹野さんって口は悪いけれど、食事中でもこうして周囲に警戒を張っているのに、私は泊まるのは嫌だとか駄々を捏ねたりして…、ちゃんと鷹野さんを信頼しなくちゃいけないよね。

 私もちゃんと食べて、鷹野さんの足を引っ張らないようにしなくちゃ。

「お嬢ちゃん、玲二は口が悪いが、仕事はきっちりするから心配しなくても平気だ」
「はい…。ここに来る途中も色々ありましたが、護って下さいました」
「そうか、なら大丈夫だな」

 鷹野さんのお父さんは嬉しそうに微笑んでいて、私もそれに答えるように微笑み返しながら、お父さんが作ってくれた料理を食べ続けた。

 食事を終えて食器を片付けるお手伝いをしていると、鷹野さんが店内に戻ってきた。

「準備が出来た。行くぞ」
「はい」

 私は鷹野さんの後に続いてお店の奥に入って階段を昇ると、二階の廊下に3つのドアがあり、鷹野さんはその内の一つのドアを開けて私の方に顔を向けた。

「ここが俺の部屋だ」
「失礼…します」

 鷹野さんの部屋はシンプルで机とベッドが一つ、そのベッドの傍には敷き布団が一つ敷かれてあり、他には筋力トレーニングで使う道具などがあった。
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