~SPの彼に守られて~
「あの~すいません」
「どうしましたか?此方に座ってください」
「えっと、実は―…」

 私が交番に入るとやや年齢が高めの男性警察官が1人だけ椅子に座っていて、もう1つ椅子を出してきて用件を尋ねてきたので、私は椅子に座りながら先程の出来事を話す。

「成る程。帰り道を歩いてたら車のライトで照らされた人物たちが見えて、急に男たちに追いかけられ、レオとドラゴンという名前を聞いたと」
「はい。最初は暗かったんですけど、私の横を通過した車のライトで周りが明るくなり、ほんの一瞬だったんですけど、そこに人がいるなぁって。そしたら男たちに追いかけられて……」

 警察官は私の話を聞きながら紙にその内容を書いていて、私は追いかけられた時の恐怖が甦って足がガタガタと震え、これは寒さからじゃなくて恐怖心からで、震える足に手を置いた。

「あの…、とても恐いので守っていただけませんか?」
「うーん、相手の顔やどんな場面だったかが分からないとなぁ」
「そんなぁ」

 この警察官の微妙な反応にとてもがっかりで、こっちは恐い思いをしたのは本当なのに、警察ってこうなのかな。

「どうかしたんですか?」
「おー鷹野、丁度良かった。この調書に目を通せ」
「はい」

 すると交番の奥の部屋から若い男性警察官が出てきて、鷹野さんという警察官は私が話した内容が書かれている紙を見ると、かすかに眉間の皺が寄り、私って何か変なことを話したつもりはないけれど、どうしてそんな表情をするの?

「この人を駅まで送ってあげてくれ」
「ちょっと待って下さい!これで終わりなんですか?」

 私の話を聞いた警察官は帰れみたいな言い方にムカついて、きつく睨んだ。

 また男たちに襲われたら絶対この警察官のせいにして、後で警察に電話して抗議してやるんだから!
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