～SPの彼に守られて～

「おはようございます、ホークスです。早朝からすいません。実はマルタイのことで―…」

　鷹野さんが鷲宮さんに相談すること数分、鷹野さんはスマホをジャージのポケットにしまい、私の方に顔を向けた。

「部屋に入る時間をもらった。俺も着替えてくるから、お前も準備しとけ」
「はい！ありがとうございます」

　鷹野さんが部屋を出て行き、私も出掛ける準備しよう。

　これで着替えや必要な物の心配はしなくて済むし、後は追いかけてきた男たちやレオという男がどうして私を狙うのかが不明で、それさえ解決すればまたいつもの生活に戻れるんだ。

　戻れるんだけど―…、私がいつもの生活に戻ったら鷹野さんたちと交わした契約は完了ということになり、会うことはなくなるんだよね。

　あれ？いつもの生活に戻れるのは良いことなのに、何故か胸がチクッと痛んだ。

「早くしろよ、時間がない」
「これを入れたら終わりです」

　部屋に戻ってきた鷹野さんに注意され、気を取り直してスマホをバックに入れて、鷹野さんと一緒にお店の玄関から出たら普通乗用車が停まっていて、私たちは普通乗用車に乗り込むと、鷹野さんはエンジンをかけて、液晶画面の電源をつけると、無線機のスイッチを入れてマイクを持つ。

「スワン、今からマルタイの部屋に向かうが、そっちの様子はどうだ？」

　スワン…、鷹野さんと一緒に私の警護を担当する白鳥さんのコードネームだ。

　昨夜、白鳥さんは私のアパートまで追いかけてきた男たちから遠ざけるために１人だけ残っていたけど、怪我はしていないよね？

『周囲に不審な人物、物などはありません。昨夜の襲撃後、近隣住民の野次馬がありましたが、警察官が対応したのでマルタイの部屋が野次馬に知れわたることはありませんでした。引き続き、周囲の警戒を張ります』
「了解。今から移動を開始する」

　鷹野さんはマイクを置くとハンドルを握ってアクセルを踏み、普通乗用車は私が住むアパートに向けて走りだした。