~SPの彼に守られて~
「白鳥さんは怪我をしてないですよね?」
「お前ってさ…」
「な、何ですか?」

 鷹野さんは少しだけ視線を私に向けてまた前を向くんだけど、私は変なことを言った?

「心配しすぎ。俺たちのことより、自分の心配をしろよ。狙われてるのはお前なんだし」
「そりゃあそうですけど……、鷹野さんたちはあんな風に襲われて怖くないんですか?」
「別に。怖がっていたら、SPの仕事を選んでねぇよ」

 私なら昨日の男たちみたいにいきなり襲ってきたりしたら、怖くてその場にへたりこんじゃうけど、この鷹野さんの自信たっぷりなところが凄いと思う。

 すると鷹野さんはハンドルを握っていた左手を離して、私の額にデコピンをした。

「痛っ!!」

 な、何で急にデコピンなんてことをしてくるの?!

「俺のことより、自分のことを考えてろって言ってるだろ」
「だからって、デコピンをするなんて酷いです!!」

 膨れっ面になりながら鷹野さんをきつく睨むと、鷹野さんは面白そうに笑っているし!ムカつく!!!

「お前って泣いたり膨れっ面になったり、面白え顔をするな」

 私が住むアパートに着くまでの車内は、笑い声と不機嫌な声が入り交じるのだった。
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