~SPの彼に守られて~
「駅まで送るので、ついてきて下さい」
「………分かりました」

 ふてくされ気味に返事をし、鷹野さんは白自転車を押しながら一緒に歩き始めるけど、駅からはまた1人だ。

「警察なら守ってくれると思ったのに」
「僕たちは出来ることが限られていまして、申し訳ございません。せめてですが、貴女を護ってくれる人を紹介します」
「護ってくれる人?」
「ええ。こちらです」

 嫌みを含みながら呟くと、鷹野さんは駅が見えてきたのにそこには立ち寄らず、駅前を通り過ぎてある1棟の前に立ち止まった。

「ここのビルの4階に行くと、貴女を護ってくれる人がいます」
「4階?」

 私はビルの4階を見上げると、窓に「株式会社ホークス」しか書かれてないけど、一体ここの会社は何なの?

「ここは民間SPがいます。」
「民間SP?」
「はい。僕たちのような警察官ではないですが、優秀な人材ばかりできっと貴女を護り抜いてくれます」

 鷹野さんはこの民間SPたちに信頼を寄せているけれど、それを信じても大丈夫かな?さっきの交番にいた警察官のように、追い払われたりしないかな?

「心配しないでください。僕の名前を言えば大丈夫ですから、それでは」
「あっ…」

 鷹野さんは敬礼すると白自転車のサドルに乗り、走り去ってしまった。

 どうしよう…、このまま1人で帰ってもまた追いかけられてしまう可能性だってあるし、家に帰るまでは誰かといた方が怖くない。

「行くしかないか」

 ビルに入ってエレベーターに乗って、4の階数ボタンを押すと、エレベーターは静かに上昇する。
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