~SPの彼に守られて~
「どうかしたか?」

 振り向くとジャージ姿の鷹野さんが立っていた。

「えっと、その…、手が震えて…」

 またふらっと身体が傾き、その場にしゃがんだ。

「とにかくベットに横になれ」
「は―…、きゃっ」

 いと言いたかったのに、鷹野さんに身体を抱きかかえられ、いわゆるお姫様抱っこをされましたと言えば分かりやすいのかも。

 恋愛系の漫画や映画ぐらいしかお姫様抱っこをする男性を見たことが無いけど、実際にやる人がいるんだ―って、そんなことよりも!

「鷹野さん、下ろしてください!重くないですか?!」
「重たくねーよ。つか暴れると落ちるから、服を掴んでいろよ」
「は、はい…」

 落ちないようにジャージを掴んで、静かにベットに下ろされて、つかの間のお姫様体験をしちゃった。

 背中を支えてもらえながら横になると、顔の両脇に鷹野さんの手が置かれ、見上げれば鷹野さんの整った顔が間近で、私をまっすぐ見おろす視線から逸らすことが出来ない。

 えっと、一つしかないベットに男が女を見下ろしているこのシチュエーションは―…、何というか、その…、ちょちょ、ちょっと?!鷹野さん!私と鷹野さんは依頼主とSPという立場じゃん!

 うーわー、まさかこのままキ―…
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