~SPの彼に守られて~
「明日も仕事があるから、早く寝ろ」

 私の顔の両脇に置かれた手がパッと離れ、鷹野さんは身体を起こして部屋を出ていった。

 えーと、取りあえず私も身体を起こして…、何?鷹野さんは一体なにがしたかったの?私はてっきりされるかと思っちゃったじゃん!

 されるって期待しているのもどうかと思うけど、部屋に男女がベットでああいう体勢のシチュエーションならされると思っちゃうのはしょうがないじゃない。

「1人でドキドキして、馬鹿みたい」

 1人きりの部屋に小さな声だけしかしなくて虚しいし、悶々とする気持ちを静めたくて、ベットにある枕を思いっきり部屋のドアに投げつけた。

 それでもまだ悶々としたのが残っていて、どさっとベットの横になって、鷹野さんのことを思い返す。

 鷹野さんの気持ちがよく分かんない…、口悪いし、優しく頭を撫でるし、人を不細工とか言うし、泣いている私の背中を優しく叩いてくれるし、お姫様抱っこをしてくるし、さっきはベットで私を見下ろしてドキドキさせてくるし。

 一体、どれが本当の鷹野さんなの?
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