~SPの彼に守られて~
「折角のお誘いですけど」
「それって、この前の男性のことが関係があるのかな?やっぱり吉野さんの恋人?」
「いいえ、そんなんじゃないです!」

 両手を振って、否定するポーズをした。

「なら、一緒に食事をしても大丈夫だね。会議が終わったら、また待ち合わせについて話そう。それじゃあ」
「あっ、あの…」

 行くとは返事をしていないのに、龍崎さんは先に給湯室を出て行っちゃった。

 龍崎さんてあんなに強引に誘う人なのかな?仕事をしているときとは全然違うような気がするし、とにかく鷹野さんにこのことを言わないと駄目だから、ここでなら電話をしても大丈夫だよね。

 スマホを手にとって、鷹野さんのアドレスを開いて通話ボタンを押した。

『千明か?どうした?』
「あの、実は経理か―…、んぐっ」

 何?急に背後から口と鼻にハンカチが当てられて、しかも意識が―…

「素直に行くと言えば良いのに」

 うっすらと見覚えのある姿が見えて、目の前が暗くなった。
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