~SPの彼に守られて~
「っつ!」

 鷹野さんは寸でで避けるも鋭利な物は鷹野さんの左目尻をかすっていたようで、赤い滴が鷹野さんの頬を伝い、覆面マスクの男は手を休めることをしないで鋭利な物を振りまわす。

「その女を渡せ!」

 覆面マスクの男が鋭利な物を振りおろそうとすると鷹野さんは銀色の棒で受け止めるけど、ほんの少し鷹野さんが押されていくのが分かって、鷹野さんが危ない!

「もう、止めて!私がレオの元に行くから、もう止めて!お願い…」

 これ以上鷹野さんを傷ついて欲しくないから、涙を流しながら覆面マスクの男に訴える。

「馬鹿なことを言うな!!俺が護るって言ってんだろ!てめぇは、さっきみたいに寝ていろよ!!」
「ぐっ!」

 鷹野さんは覆面マスクの男の無防備になっているお腹にめがけて右足で蹴り、それが効いたのか覆面マスクの男は鋭利な物を手から離して足元から崩れて倒れた。

 すると鷹野さんはスーツのポケットからハンカチを取り出して覆面マスクの男の両手を縛り、インカムに手を添える。

「スワン、俺たちがいる場所に襲撃者を拘束しているから鷲宮さんに連絡しろ。俺たちはこれから脱出する。…―分かった、出て右だな?」

 鷹野さんは大きく息を吐いて私の方に向くと、まだ左目尻からは赤い滴が流れている。

「鷹野さん、目のところが…」
「こんなものは大したことねぇよ。それよりも、早くここから出るぞ」

 鷹野さんは私の右手を握り、2人で薄暗い部屋を出て右に曲がり、電気が点いていない廊下を走り出す。

 廊下には段ボールや通行止めの赤いコーンとか脚立が雑に置かれていて、さっき龍崎さんが言っていたけど、角井百貨店にはこんな誰もよりつかないような場所があったんだ。
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