~SPの彼に守られて~
◇last episode
規則的にリズムを刻む電子音だけが個室に流れ、私は瞼を閉じたまま目を覚まさないでいる鷹野さんの右手をそっと握る。
普通乗用車の車内で意識を失った鷹野さんは、駆けつけた警察病院の医師や看護師たちの懸命な処置のおかげで助かり一命を取り留め、今は個室のベットで意識が戻るのを待っている状態だ。
鷲宮さんは医師のところへ、白鳥さんは個室の外で待機している。
大きな怪我となった左腕は包帯が巻かれ、左手首には輸血用の点滴の管が刺さっていて、処置を終えた医師からは『あと少し赤い液体が流れ出ていたら、危なかったでしょう』と言われ、医師からの言葉に背筋がぞっとした。
私のためにこんなにも傷ついて…、あのまま地下駐車場にいたら鷹野さんは命を落としていたかもしれないと思うと、たった1つしかない命を大切にして欲しいから、だから―…
「目を開けて…」
小さな声で本心を呟くと、個室のドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
ドアが静かに開くと鷲宮さんが入ってきたので、やばい、こんな顔を見られたくないから慌てて涙を手の甲で拭く。
「医師からの病状の説明が終わりまして、鷹野が目を覚ましても傷の進行具合を観察するために暫らくは入院となりました」
「そう、ですか…」
「こんな場所で話をするのも酷ですが、吉野様を襲った龍崎という男は警察に身柄を拘束されていますので、もう吉野様を襲うようなことは無いと思われます。つきましては、我々の警護はこれで"終了"という形となります」
「あっ…」
鷲宮さんの"終了"という言葉に、改めて自分と鷹野さんたちの関係を思い出す。
龍崎さんが属している組織から追いかけられていた私を護って欲しくて依頼をしたから、今回の逮捕によって解決となるんだよね?
警護終了=鷹野さんには会えないという図式になるのは分かるけれど、分かるんだけれど―…
普通乗用車の車内で意識を失った鷹野さんは、駆けつけた警察病院の医師や看護師たちの懸命な処置のおかげで助かり一命を取り留め、今は個室のベットで意識が戻るのを待っている状態だ。
鷲宮さんは医師のところへ、白鳥さんは個室の外で待機している。
大きな怪我となった左腕は包帯が巻かれ、左手首には輸血用の点滴の管が刺さっていて、処置を終えた医師からは『あと少し赤い液体が流れ出ていたら、危なかったでしょう』と言われ、医師からの言葉に背筋がぞっとした。
私のためにこんなにも傷ついて…、あのまま地下駐車場にいたら鷹野さんは命を落としていたかもしれないと思うと、たった1つしかない命を大切にして欲しいから、だから―…
「目を開けて…」
小さな声で本心を呟くと、個室のドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
ドアが静かに開くと鷲宮さんが入ってきたので、やばい、こんな顔を見られたくないから慌てて涙を手の甲で拭く。
「医師からの病状の説明が終わりまして、鷹野が目を覚ましても傷の進行具合を観察するために暫らくは入院となりました」
「そう、ですか…」
「こんな場所で話をするのも酷ですが、吉野様を襲った龍崎という男は警察に身柄を拘束されていますので、もう吉野様を襲うようなことは無いと思われます。つきましては、我々の警護はこれで"終了"という形となります」
「あっ…」
鷲宮さんの"終了"という言葉に、改めて自分と鷹野さんたちの関係を思い出す。
龍崎さんが属している組織から追いかけられていた私を護って欲しくて依頼をしたから、今回の逮捕によって解決となるんだよね?
警護終了=鷹野さんには会えないという図式になるのは分かるけれど、分かるんだけれど―…