～SPの彼に守られて～

「でわ警護についての内容やそれに発生する諸経費、我々との契約を交わす契約書についてご説明します」

　鷲宮さんからの説明は次の内容で、株式会社ホークスでの基本的な警護は２人のＳＰが付くことになり、依頼主（今回は私）よりも先に建物内の不審物や不審者がいないかを確認する"先着警備"と、常に依頼主の傍で警護する"同行警備"がある。

「先着は白鳥、同行は鷹野が担当します。次は吉野様の生活情報について、お聞かせ下さい」
「えっと、最寄りの駅は○○駅を使っています。そこから―…」

　どこに住んでいるのか、移動手段や勤務先の情報と生活範囲を話すと、私は朝９時から夜１８時まで角井百貨店の経理課で働いているので就業中の警護は必要なく、出勤と退勤時の警護をしてもらうことにし、その時間毎の料金が発生する。

「では、今の話をまとめますと、此方が一時間辺りの警護料金となります」
「こんなに…」

　鷲宮さんから差し出された料金表を見ると一時間数千円は掛かるみたいで、最初は『私を護って下さい！！』という感じでいたけれど、人間、金銭が絡むとなると思考が現実的になっちゃう。

　警護をしてもらう度に一般ＯＬの私でも払えるかな？お金持ちなら気前よく払えるかもしれないけど、そんな身分でもないし…、バックからお財布を取り出して中身を見ると、今日の帰りと明日の分くらいは払えそうかも。

「えっと、手持ちのお金が少ないので、今日の帰りと明日の警護はお願い出来ますか？その他の期間の分は、お給料が出たらお支払いします」
「かしこまりました」

　なけなしの金額を差し出すと、鷲宮さんは苦笑しながらも受け取り、私は契約書にサインをした。