ふりむいてよキャプテン
「どこ見てんだお前!」


......また?
ちょっとちょっと......、しっかりしてよ......。


いつもなら一、二球、多くても三、四球で終わるキャッチャーフライを、小野くんは一体何球いや何十球受けただろうか。


「おねがいします!」


ボールをとりそこねて、再び位置につき、フライが上がるのを待つ小野くん。


キャッチャーフライは他のフライと違って、真上に上がるから、いきなりやっても捕るのが難しいのは分かる。


でも、さ......、なんでボールのこない方によけている私と同じ方向にくるの!?


ちなみに私、キャッチャーフライをよけるのだけは達人だ。先生がボール渡しをしている私の方にも容赦なくバンバン打ってくるから。


「おねがいします!」


ああ!ちがう!だから、そっちじゃないってば!
もっと右、右!

またまたフライが上がった方とは違う方向にいっている小野くんに、つい心の中で叫んでしまう。
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