ふりむいてよキャプテン
「おねがいします!」


またまたミットをつけて、位置につく小野くん、それからカァンと先生がボールを上に打ち上げる音。

そして、ギャグのように違う方向にいってる小野くん。


......いったい、これいつになったら終わるんだろう。

私がノック受けた方がまだ捕れるんじゃないか、っていうのはさすがに言いすぎだけど、そう言いたくなるくらいにフライを捕れる気配がない。


「おいおい、日が暮れちまうぞ。
見当違いな方ばっかりいってんじゃねぇか」


ボールを全くキャッチできないダメダメキャッチャーの小野くんを見て、先生苦笑い。


「おい、いつき!内野手連れて、なわとびやってこい。
外野とピッチャーは外周いけ」


筋トレしながら、行く末を見守っていたみんなに指示が出され、校舎側へとそれぞれ移動していく。

あーあ、とうとう別メニューにされちゃったよ......。


「マネージャー、ここはもういいから、ストップウォッチもって外周のタイムはかってやれ」

「......はい」


私にも指示が出たので、ストップウォッチをとりに一度部室に走って戻る。


延々とノックを受けるキャッチャーフライがとれないキャッチャー、完全にさらしもの状態の小野くんを置いて。



......が、がんばれ、小野くんっ!
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