ふりむいてよキャプテン
ほら、とそっぽを向いて差し出したにっしーの手をとるべきか、いやでも......。



「そんなにはぐれるのが心配なら、こうしたらいいよね?」



少し考えてから、にっしーの手に巾着のひもを片方のせて、それを握らせる。
もう片方のひもは私が握った。

つまり、私とにっしーは巾着で繋がれた状態。



「......」

「に、にっしー!たこ焼き買いにいこ?」



すでに何発かの打ち上げ花火が上がり始めている。

ひとまず食べ物でも買おう、とひもを引っ張り、何か言いたげなにっしーを屋台の方へと引きずっていく。


だ、だって。私とにっしーが手を繋ぐとか、どう考えても絶対変だもん。


ボール渡しでなら手が触れることもあるし、それだったら全然構わない。

けど、こんなムードのいいところで、改まって手を繋ぐなんて、絶対、変だよ......。






普通に手を繋ぐよりも、巾着のひもを片方ずつ持った状態の方がよっぽど変だ、ということに私がようやく気がついたのは。


ゆっちヒロくんにばったり会って、なにやってんのアンタら、とヒロくんに冷たい目で見下された時だった。
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