ふりむいてよキャプテン
いつもなら、今日のみんなみたいなプレイをしていたら、怒鳴られるなんてものではすまない。


だけど、毎年恒例の保護者との交流試合。
この日に限っては、いつもとは逆で、本気だしてアウトとりにいったらダメだし、もちろん攻撃の時も本気だして打ったりしてはいけない。

本当に先輩たちから聞いていたとおりだ。


今日だけは私もスコアもつけずに、のんびり観戦してていいから楽......。

ゆるい試合を、部室の壁にもたれかかって、ゆるーく観戦していると、ダンボールをもち、サングラスをかけた鬼監督がこちらに近づいてくる。


「宮崎、後で保護者の方にお茶だししてこい。
いつもお世話になってます、これからもよろしくおねがいします、ってしっかりお礼もいっておけよ」



自分で渡せばいいものを、これも渡せとペットボトルのお茶とともに、お菓子がダンボールごと渡される。


......私に休息の時間は与えられないわけですね。


それはともかくとして、部員のお母さんたちには本当に申し訳ないくらいお世話になっている。

遠征に行くときには車を出してもらったり、休みの日にもわざわざ学校にきてもらったり。

部費も負担してもらってるし、毎日の洗濯だって大変だろうし......。


みんなが思う存分野球をやれてるのも、ひとえにお母さんたちの協力のおかげなんだ。
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