ふりむいてよキャプテン
救急車、救急車。
救急車って、何番だった?

パニックになりながら、カバンからスマホをとりだす。


「外騒がしいけど、なにかあったの?」

「や、なんか分からないんだけど、にっしーが倒れた」


その時ちょうど、部室で何人かとトランプをしていたヒロくんに声をかけられて、早口で答える。


「は?マジで?」

「う、うん。今日の試合で疲れちゃったのかな」

「ばか、あの試合で疲れるやつはいないでしょ。
熱中症じゃないの」

「そっか、熱中症......。
にっしー、色白いから......。

ねえ、救急車って何番だった?」


チームメイトが倒れたというのに、妙に落ち着いているヒロくんに憤りを感じるけれど、私は私であわてすぎているのかも。

見当違いなことばかり言ってしまうし、救急車の番号も思い出せない。


「色は関係ない。
なに、救急車呼べばいいの?
俺かけるからいいよ」


普段はいけすかないクールキャラぶってるヒロくんも、こんなときだけは頼りになる。

電話もかけられない私に代わって、救急車を呼んでくれた。


こうして、にっしーは無事に......この場合無事にという言葉で合ってるか分からないけど、とにかく救急車で運ばれて病院送りになったのだった。
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