ふりむいてよキャプテン
練習後、グラウンド整備もそこそこに、にっしーは速攻で制服に着替えるとバタバタと帰り支度をしている。

いつもは残って、みんなとしゃべっていくのにめずらしい。


「にっしー、今日早いな」

「ああ、夏休みの宿題まったく手つけてなかった。
こりゃもう徹夜コースだな。
先輩方、お先に失礼しまーす!」


タメに声をかけられ、にっしーはバタバタと先輩たちにあいさつをしたあと、走って部室を出ていく。

にっしー......。
すこしも手つけてないって、いったい今まで何やっていたの。三日間で間に合えばいいけど......。


「にっしー、待って。俺も帰る。
お先に失礼します!」


にっしーに続いて、小野くんもあわててそのあとを追っていく。


「お前、宿題どのくらいやった?」

「は?俺がやってあるわけないじゃん。
最悪、始業式サボって、部活までに終わらすしかないな」


そのあと、何人かの二年生の先輩たちがそんなことを話ながら帰っていく。

始業式はサボっても、部活はサボらないんだ......。
間違ってる、このひとたち絶対間違ってるよ。

いったい何人が始業式までに無事生還できるのか。
< 158 / 604 >

この作品をシェア

pagetop