ふりむいてよキャプテン
三試合目 はじまりとおわりと

好きな人

「で、あるからしてー......、えー......夏休み気分の抜けない人も多いと思いますがー......、......今日から2学期......。
えー......しっかり気持ちを切り替えて......」



9月1日、あつくてむしむしする体育館の中での始業式。


長くてつまらない校長の話を真面目に聞いている人はほとんどいない。

することといったら、考えごとをするか、校長の口癖の「えー」を何回言ったか数えるか。

もしくは、近くの人とこっそりおしゃべりするか。


「えっ、うそー?
昨日ヒロくんと遊んだの?二人で?」

「うん、そうなのー。
部活休みだから、よかったら映画でも見に行かないかって誘われたのー」


そういう私も例外ではなく、ひそひそ声で後ろにいるゆっちとのおしゃべりに夢中になっていた。

ヒロくんと映画ねぇ......、そんなことになっているとはびっくりだよ。


「あとね、花火大会の日から毎日ヒロくんとラインしてるよ。これって、イケると思う?
ねえねえ、どう思うー?」


恥じらいながら話す恋する乙女というよりも、イケメンゲット!イケメンイケメン、と欲望丸出しで目をランランと輝かせながら話すゆっち。

今までで一番イキイキしてる。
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