ふりむいてよキャプテン
「なにが?」


「さっきの。小野くんに聞こえちゃったかも。
あみの前の席が小野くんになったってすっかり忘れてた。
小野くん気配消してるんだもん」


「.....ああ、別にいいよ、聞こえても。
興味ないだろうし」


気配は消してないだろうけど、と一言そえると。

ゆっちは、ふーんと全然納得してなさそうな声で相づちをうつ。


「ねぇ、あみと小野くんって教室だと全然しゃべんないね」


「教室だとっていうか、部活でもあんな感じだよ。
私と小野くん、もともとしゃべらないから」



事実のみを話すと、どこらへんが好きだったの、とゆっちは不審そうに私を見る。


自分でも、謎。

よく話していていいなと思ったわけじゃない。
かといって、ひとめぼれってわけでもない。

試合でかっこいいとこ見て好きになった、とかでもない。


本当に謎。
キュンポイントがあるどころか、好きになるポイントはことごとく外してくる小野くんなのに。

それでも、私は......。
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