ふりむいてよキャプテン
か、かたい。
なにこれ、全然抜けない......っ。


試合の時だけつけるベースカバー。
まずは一塁のベースカバーを外そうとするけれど、イライラしながらやっていたこともあって、全然抜けない。

あせるとさらに抜けなくなって、ますますイライラがつのる。



「はい、二塁と三塁も外す?」

「にっしー、ありがと......」


私が苦戦していたベースカバーがにっしーによって、一瞬ではずされる。


頷くと、後で外してもってきてくれるというので、一塁のベースカバーだけもって、草むらのとこにある水道に持っていく。


飲み水なんかはちゃんとした水のみ場の水を使うけど、ちょっとした汚れ物くらいなら、グラウンドに近いこっちの水道を使うんだ。


二塁や三塁よりもたくさん踏まれた一塁のベースカバーを、たわしでゴシゴシゴシ洗っていると、にっしーが宣言通り残りのベースカバーを持ってきてくれた。



「明日オフだって!久しぶりの休みだね。

......あのさ......、明日、水族館でもいく?」


「う.....ん、魚はあんまり好きじゃないや......」



二塁のベースカバーを洗いながら、ひとりテンション高くなったり、照れたりしているにっしーの話に上の空で返事を返す。

その間、水道は流しっぱなしで、手だけは休まずゴシゴシ洗いながら。
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