ふりむいてよキャプテン
「え......、あ、そっか。
じゃあさ、ちょっと遠いけど県境のテーマパークは?
それとも映画とかの方がいい?」

「うーん......」



テーマパークか。最近行ってないけど、どうもあまりはしゃぐ気分にはなれない。

でも、久しぶりのオフだし......。



「......元気なくない?
なんかあった?」

「え、別にふつーだよ。
全然普通」



色々考えこんでいたら、にっしーは蛇口の水をとめて、私の顔をのぞきこむ。


試合の後だから疲れてるだけ、にっしーが元気すぎなの、とかなんとか。色々言ってみるけど、まだにっしーは不審そうにこっちを見ている。



「......にっしーは好きな子が見てたら、試合がんばれるタイプ?」

「え......。なに、突然。
なんて答えたらいいの?」

「ごめん、答えにくかったらいいよ。忘れて」



口ごもっているにっしーを見て、やっぱり忘れてとさっきの発言を取り消す。

なんでにっしーにこんなこと聞いてるんだろ。私最低だ......。


止められた蛇口をひねり作業を再開しようとすると、その手をにっしーにつかまれた。
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