ふりむいてよキャプテン
「それで、話って何?」


あれから、私の家の近くの神社によった。


とっくに8時を過ぎ、すっかり暗くなった二人きりの境内の中。

土俵近くに座り、なかなか話を切り出さない私に代わり、にっしーの方から話を切り出した。



「......うん。
あのね、にっしーに言わなきゃいけないことがあるんだ」

「なに?」



電信柱だけを見つめる私に、にっしーの声も浮かない。

ここは住宅街の近くではあるけど、この時間はほとんど人も通らないし、すごく静かだ。



「私......、小野くんのことが好きなの。
他に好きな人がいるのに、にっしーと付き合ってた」




静かな境内に聞こえる自分の声は、心臓がおかしくなりそうな心の中とはうって変わって、やけに冷静に聞こえた。

にっしーがどんな反応をするのが怖くて、顔をふせるけど。でも見ないわけにはいかないから、おそるおそる彼の顔をみる。
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