ふりむいてよキャプテン
「ああ......、何言われるのかと思ったら、それね」



なぜかそれほど驚きもしないで、頷いたにっしーに、私の方がびっくりしてしまう。

自分的にはものすごく勇気をふりしぼり、一大決心をして言ったことで、しかもにっしーにとっても爆弾発言だと思うのに。



「俺、知ってたよ。

マサっていうのは知らなかったけど、あみに他に好きな人がいるってことは、知ってた」



最初から知ってたよ、と何でもないことのように、だけどほんの少しだけ寂しそうに笑うにっしーに胸が痛む。

と同時に、まさか知ってたとは夢にも思わなくて、衝撃をうける。


どう、して......?

何で知ってたの、とようやく絞り出した声は小さなものだったけど、にっしーには聞こえたみたいで、またひとつうなずいて、私から視線をそらした。



「あみに告白する前にさ、ゆっちに相談したんだよ。
そしたら、他に好きな人いるみたいだから無理かもよ?って言われて。

誰かまでは教えてくれなかったんだけどな」

「......だったら、どうして?」



知っていた理由ははっきりしても、分からないことばかりだ。


どうしてそれでも告白したの、どうして何も言わずに付き合ってるの、どうして何も聞かなかったの。

どうして、ばかりだよ。


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