ふりむいてよキャプテン
「それでもいいと思ったから。
それでも......好きだから」



どうして、なんて。

私の中では疑問ばかりなのに、実際にはそこに複雑なものなんて一切なく。

彼の答えはシンプルなものだった。



「だから、俺の気持ちは変わらないから。
俺は、別れたくないからな」



何を言えばいいのか分からなくて黙りこんでいると、にっしーがはっきりした口調でそう言った。

別れるとか何も言ってないけど......、でも、だいたい私が何を言いたいのかは察したのかもしれない。



「でも、私は他に好きな人いるんだよ?
それでもいいの?」

「いいよ、全然気にしないから」



にっしーはちょっと緊張した面持ちで、私の手をとる。



「.....ごめん、やっぱり本当は気になるけど。
それでも俺が別れたくないんだ。

マサと上手くいきそうになったら......、そっちいっていいから。だからさ、それまでは別れたくない」



みっともなくてごめんな、とプライドも全部捨てて、別れたくないと訴えるにっしーに、ものすごく自分がひどい人間に思えてくる。


にっしーの部活バックにつけられた、私の作ったいちご柄のお守り。

告白の時みたいに、捨てられた子犬みたいなにっしーの顔。


胸が、痛いよ。
どれだけ私は、にっしーを苦しめれば気がすむんだろう......。
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