ふりむいてよキャプテン
「じゃあさぁ、うちのクラスの小野くんとかどうよ?」


まるちゃんと二人で色々話し込んでいたら、もう一人の子と話していたゆっちがいきなり割りいってきて、かるいノリでそんなことを聞く。

聞きたいようで聞きたくない、私には絶対聞けないことを。


「えー?小野くんはないかな」


ちょっと困ったように笑うまるちゃんの顔を見て、ああまるちゃんは小野くんの気持ちに気づいてるんだ、となんとなく思った。

彼氏いるから、とかじゃなく、全く相手にされてないところが泣ける。


......相手にされてないのは、私も一緒だけど。


「あ、ねぇ、この前あみと隣のクラスの野球部の子が一緒に帰ってるとこみたよ。あれ、彼氏?」

「......ああ、うん、いちおう彼氏、かな」


いちおう、ってなんだ。
自分の答えに自分でひどいと思いつつも、はっきりと彼氏と答えることができない。


「そうなんだー。彼氏かっこいいよね」

「でしょ?」


好きな人の好きな人と恋の話なんて、本当はしたくないのに。

作り笑顔であいまいに話合わせたりなんかして、私もたいがいだな。
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