ふりむいてよキャプテン
なんでもないから気にしないで。


好きだからと送るつもりが、なぜか私のヘタレな右手は全然別のことを送っていた。

自分から聞いといて、気にしないでってどんな人だ。


あれから三十分、私のLINEにもちろん小野くんからの返信はない。


はぁ......、もう十二時か。
寝よ。


寝ようとしたそのとき、ポーンとスマホからLINEの通知音がなる。

誰だろ......、ゆっちとかそれともクラスの友達かな.......、え?小野くん!?


まさかくるはずのない小野くんからのLINEがきて、それを開く。


やっぱりさっきの気になるんだけど、どういう意味か教えて


絵文字どころか丸さえもつけられてないそっけないメール。

それはいいとしても......、どういう意味って......。
なんでもないって言ったのに、なんで小野くんこんなに聞いてくるんだろ。


いまいち彼の真意が分からないけど、二回目のチャンスだ。

しかも小野くんの方から答えを誘導してくれてるのだから、もうこれはいうしかないでしょ。



ごめん、本当になんでもないから気にしないで


十分ほど迷った結果、またしても私の臆病な右手は本当の理由を送れなかった。


もう......、私だめすぎ。


作戦その三、失敗。
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