ふりむいてよキャプテン
「そういや春休み中に別れて、今は彼女募集中って言ってたな」


よし!!と喜び隠せず、片手でハンドルを握りながらも、もう一方の手で思いきりガッツポーズをしてしまった。

そんな私を、にっしーはおいおいとあきれたように横目で見てくる。


「マサはどうした」

「だって、小野くん三日でキャッチャーやめるんだもん」

「それはもう忘れてやろうよ」

「それに......、全く望みのない人を追いかけるのも、もう疲れちゃった」


冗談っぽく話していたはずだったのに、最後の一言にうっかり感情が出てしまった。


「あー......、まぁ、マサはなぁ......」


にっしーもそんな私にかける言葉がないようで、ハンドルをぎゅっと握ってうつむく。


「そうそう!だからもうやめる!
ミッチーに、のりかえちゃおうかな?」


この空気がやけに気まずくて、なんとか変えようと無駄に大きな声を出してから、冗談っぽくえへと笑ってみる。

もちろんまだミッチーの性格もしらないし、冗談だけど。
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