ふりむいてよキャプテン
「さほはっきり言われて、初めて気づいたんです。
自分が今までどれだけダメだったかって。
もっと早く気づかなくちゃいけなかったのに、本当にごめんなさい」


心から反省しているといった様子でまっすぐに私を見るさほちゃんは、今までになくしおらしい。


なんだ......、いいこじゃん......。
はっきり言えば、ちゃんと分かってくれるんだ。


単純だけど、本当に単純だけど。
たった一言、だけどその心のこもった謝罪の言葉で、今までのモヤモヤも全部どこかにいってしまう気がした。


「ううん、私ももっとちゃんと言えばよかったね。
先輩としてちゃんと導いてあげられなくてごめんね。

二人になっちゃったけど、これから二人でマネージャーがんばっていこう?」


本来なら小野くんにやらせる役割じゃなくて、私がやらなくちゃいけなかったこと。

怖い先輩と思われたくない、嫌われるのが怖いからじゃなくて、もっとビシッと言わなきゃいけなかったんだ。

そうすれば、このこはちゃんと分かってくれたのに......。


「わぁ、良かったぁ。
あみ先輩、さほのこと怒ってるかと思いました。
こんなさほだけど、これからも仲良くしてくれますか?」


がんばっていこうと笑いかけると、ようやく元気を取り戻して笑顔になったさほちゃん。

その心からの笑顔をみて、今までイラついてばっかりだった猫なで声もアイドルみたいに可愛い顔も、初めてねたみなく可愛いと思えた。

これは男子が可愛がる気持ちも分かるかも、なんて。
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