ふりむいてよキャプテン
「今日の試合、全部三振するかも」


......。にっしーがこんなに弱気になるなんて。

ナーバスになってる振りでもなんでもなく、本気でナーバス入っちゃってる。


「......いいんじゃない?全部三振しても」

「......え?」


うつむいていた顔を上げて目を丸くするにっしーに、私も手を止めて目を合わせる。


もちろん全部三振していいってことはない。
ないけど。

三振するなら三振するで仕方ない。


「にっしーが三振しても、エラーしても、ちゃんと最後まで見てるから」


だから、どんな状況でも最後まで戦って。
口に出しはしなかったけれど、暗にそういう思いを込めてにっしーの目を見つめた。


「......はい、できたよ」

「ああ、ありがとう。
......よしっ!思いっきり三振してくる!」


私からユニフォームを受けとると、にっしーはふっ切れたように笑って立ち上がった。
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