ふりむいてよキャプテン
「はいはい、かっこいい三振期待してるよ」


三振しちゃダメでしょ、もう......。
嘘でも、あみのためにホームラン打ってくる、くらいかっこいいこと言えないものなのか。


背番号4番をつけるにっしーの背中をあきれながら、だけど笑顔で見つめる。


好きな人のために野球やったり、かっこつけたりするにっしーよりも、自分のために野球やって、自分らしく打席に立つにっしーの方がずっと好きだよ。


私はにっしーたちみたいにグラウンドに立てないし、いるだけでテンション上がるほどの美人マネでもないし、気の利いた言葉でみんなに発破をかけることもできない。


私にできることなんて、スコア書きながら見てることくらいしかないけど、でもそれだけはしっかり目をそらさずに最後まで見てるから。


だから、最後まであきらめないにっしーらしい野球を見せてね。


何も言わず、ただ穴があきそうなほどにその背中を見つめて、アップに戻っていく背番号4番を見送った。
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