ふりむいてよキャプテン
「辞めなきゃいけないっていうんだったら、私の方だと思うし......」


何の反応もないにっしーに、そう続けた。
なんだか声が小さくなっちゃったけど、聞こえたかな......。


「あみが辞める必要ない。
あみ辞めさせたら、俺マサに......、キャプテンに怒られるよ」

「小野くんは私がいてもいなくてもどっちでもいいと思うよ。マネージャーだったら、さほちゃんがいるし」


流しっぱなしの水道の音だけが聞こえる、静かなこの空間が気まずい。

水道の音になぜかイライラして、やけに冷たい声が出た。


「そんなことないよ。マサは......」

「そんなことあるし、小野くんがどう思ってようとどっちでもいいよ。とにかくにっしーが辞めてほしいんだったら、いつでもやめるから」


ずっと沈んだままのにっしーの方を振り返ることができない。


今までずっとがんばってきた部活をこんなところでやめたくはないけど、それだけのことを私はにっしーにしてしまったから。


そもそも私が好きな人がいるのに、にっしーと付き合ったりしなければこんなことにならなかった。

中途半端なことばっかりしてるから、よけいにっしーのことを傷つけることになっちゃったんだよ......。
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