ふりむいてよキャプテン
「ありがとう、助かっちゃった」



小野くんが三回もエラーしたのを書く時は気まずかったけど、全て終わってからお礼を言うと、頷いただけでまた靴磨きに戻る小野くん。



......教えてもらっちゃった。



あ、ヒロくんが投げてた試合二本しかヒット打たれてないんだ。

二軍同士の試合とはいえ、ヒロくんもまだ一年生。

味方のエラーで得点されただけで、これってすごいんだよね?

さすがに大口叩くだけはある.....。


小野くんと一緒に完成させた成績表を見ていると、グラウンド整備を終えたヒロくんが私の方に近づいてくる。



「成績表書けたの?俺の成績どう......」


「失礼します!おつかれさまでした」



またイヤミを言われる前に成績表をヒロくんに押し付けて、部室を出てきた。


厳しい人も多いけど、そんなに嫌なことばっかりじゃない。なんて、ほんのちょっとだけ嬉しくなって、にんまりする顔を学校のカバンで隠しながら。
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